光王子と月夜のシンデレラ
「……す、すごいです!!」
「……は」
「私を支えてくれながらもそんなこと出来たんですね!今宮くんのおかげで学校へ報告もしやすくなるし、今後被害も出ないかもしれないですね」

俺は都合よく解釈しているのだろうか。
いやでも……見間違いでなければ、目の前の彼女は笑顔で話している。

「佐倉さん、なんで……」

彼女の反応がよくわからず、その意図を考えてしまう。

「い、今宮くん……私の特技をお話しした時に言ってくれましたよね。料理できるのは努力なんだ、すごいなって」
「あ、ああ……」
「そのお言葉、そっくりそのままお返しします!」
「は……?」
「誰もが特技だと思っていたその頭脳や知識が、努力のたまものってことですよね?すごすぎます!」
「いや、それは……」
「私あの時、そう言ってもらえてすごく嬉しかったんです。特技だけでなく、努力してきた部分も認めてくれたって」
「私は特技に関連することで頑張らざるを得なかったけど、今宮くんは関係なく努力してきたんですよね。それってすごく大変だし、すごいことです!」

ふんっ!とでも言いそうな、特待生を目指そうと言った時以上の彼女の勢いに、本気の言葉なのだと感じる。

「あとですね、単なる疑問なのですけれど……特技はスリなのでしょうか?」
「は……?」
「別に特技って自分でこれが得意って思うだけで、誰かに言われるわけでも命名されるわけでもありませんよね」
「まあ……」
「今宮くんがスリって思っているだけで、本当は手先が器用、なのかもしれないし……あっ例えば奇術!そうですよ、奇術が特技なのかもしれませんよ!?」
「奇術……?」
「そうです!マジックとかですね。今宮くん、手先器用じゃないですか。授業中もよくペン回ししてて……あれ、すごいなっていつも思ってたんですよ。トランプきったり、何ならマジック得意だったりしません?」

ふと、自分の記憶をたどってみる。
確かにペン回しも何も考えずにできたし、トランプきるのもよく褒められたっけ。
マジックの経験はないけれど、テレビで見ていても割といつもタネ明かしのネタがわかっていたかも。

「得意……かも」
「ね!きっと奇術なんですよ!今宮くんの特技は」
「え……」
「いいですね?スリなんじゃないです、奇術です!」

なんだそれ……そんなわけないだろう。
なのに、なぜだか全身の力が抜けて脱力し、芝生に背中を預けてしまう。

「あ……」
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