光王子と月夜のシンデレラ
「えー先生!タレ忘れたってマジかよ!?」
「……ないな。申し訳ない」
「バーベキューでソース無しなんて、あり得ないっすよ!」
「素材の味をそのまま楽しむのも臨海学校ってことで」
ブーブーと文句がそこら中から聞こえてくる、ホテルの中庭のバーベキュー会場。
バーベキューは先生たちが材料も用意してくれて、班ごとに焼いて食べる。
……が、まさかの付けダレを準備しそびれたらしい。
あれから戻った私たちは、先生に怒られる覚悟もしていたのだけれど、同じ班のメンバーがうまくごまかしてくれていたみたいで、特に大事には至らず、バーベキューに合流できた。
そんな感謝してもしきれない班のメンバーは、篠崎 新菜(しのざき にいな)ちゃん、成沢 瑛斗(なるさわ えいと)くん、松永 零士(まつなが れいし)くん。そして私と今宮くんだ。
当然、私はまだ距離を縮められていないのだけれど、みんないい人そう。
いや、ごまかしてくれた時点でいい人確定なのだけれど。
特に篠崎さんは、返事もままならずオドオドしている私に呆れず、話しかけてくれる天女のような子だ。
さて、ここはホテルとは言うけれど、各クラス1棟のコテージのような建物。
今ここにもうちのクラスしかいなく、プライベートリゾートの空間のようになっている。
それ故に、周りにはコンビニもスーパーもなく、館内にレストランもない。
タレを調達することは不可能……
「ほら、ケチャップはあるから!フランクフルトだってケチャップだろ?おっ醤油もあったぞ!」
「せんせー……牛肉にケチャップはないっすよ……」
先生のいる中央の大きなテーブルを見ると、醤油の他に砂糖やごま油など、最低限の調味料があるのが見える。
……タレ、作れる。
けれど……みんなの前でそれを言うなんて……
それ以前に、みんなの口に合わなかったらどうしよう……手作りのタレとか嫌な子もいるんじゃ……
何より先生にも失礼になるのかな……シラケたら……
色々な悪い考えばかりが頭をグルグルとよぎってくる。
でも……楽しくて美味しいバーベキューにしたいし……
そんな私に気づいたのか、今宮くんがそっと隣に来て耳打ちする。
「作れそう?」
「う、うん……でも……」
「大丈夫、自信持ちなって。俺もフォローする」
チラリと今宮くんと目が合う。
一瞬だったけれど、頑張れって言ってくれているようで……
ぐっと拳を握りしめ、深呼吸。
「あっ……ひぁの!」
噛んだ……どうして私はこうなんだ。
恥ずかしさで隠れたいけれど、そんな私を待たず、みんなの視線が私に集まる。
さっきまであんなに賑わっていたのがウソのように、静寂に包まれる。
私が話さないと、この空気はどうにもならなそうで……
「あっあの……そこにある調味料組み合わせて……タレ作れます」
「よ、よければ……作ってもいいですか?」
言った……!
けれど、引き続き静寂に包まれたまま。
怖くて俯いたまま、みんなの反応を見ることができない。
「えー!佐倉できんの?」
「佐倉さん料理上手って聞いたもん!きっとできるよ!」
「私お願いしたいな!」
少しして、次々とそんな声が聞こえてきたので、私は顔を上げる。
「まずは私たちから作ってもらっちゃおうかな!同じ班だしね」
篠崎さんが肩を組んで、中央のテーブルまで一緒に来てくれる。
ありがとう、すごく心強い。
応えるために、頑張りたい……!
よくある焼肉のタレ的な味でいいんだよね……大丈夫、頭に入っている。
置いてあった軽量スプーンを使いながら、タレを作っていく。
「……ないな。申し訳ない」
「バーベキューでソース無しなんて、あり得ないっすよ!」
「素材の味をそのまま楽しむのも臨海学校ってことで」
ブーブーと文句がそこら中から聞こえてくる、ホテルの中庭のバーベキュー会場。
バーベキューは先生たちが材料も用意してくれて、班ごとに焼いて食べる。
……が、まさかの付けダレを準備しそびれたらしい。
あれから戻った私たちは、先生に怒られる覚悟もしていたのだけれど、同じ班のメンバーがうまくごまかしてくれていたみたいで、特に大事には至らず、バーベキューに合流できた。
そんな感謝してもしきれない班のメンバーは、篠崎 新菜(しのざき にいな)ちゃん、成沢 瑛斗(なるさわ えいと)くん、松永 零士(まつなが れいし)くん。そして私と今宮くんだ。
当然、私はまだ距離を縮められていないのだけれど、みんないい人そう。
いや、ごまかしてくれた時点でいい人確定なのだけれど。
特に篠崎さんは、返事もままならずオドオドしている私に呆れず、話しかけてくれる天女のような子だ。
さて、ここはホテルとは言うけれど、各クラス1棟のコテージのような建物。
今ここにもうちのクラスしかいなく、プライベートリゾートの空間のようになっている。
それ故に、周りにはコンビニもスーパーもなく、館内にレストランもない。
タレを調達することは不可能……
「ほら、ケチャップはあるから!フランクフルトだってケチャップだろ?おっ醤油もあったぞ!」
「せんせー……牛肉にケチャップはないっすよ……」
先生のいる中央の大きなテーブルを見ると、醤油の他に砂糖やごま油など、最低限の調味料があるのが見える。
……タレ、作れる。
けれど……みんなの前でそれを言うなんて……
それ以前に、みんなの口に合わなかったらどうしよう……手作りのタレとか嫌な子もいるんじゃ……
何より先生にも失礼になるのかな……シラケたら……
色々な悪い考えばかりが頭をグルグルとよぎってくる。
でも……楽しくて美味しいバーベキューにしたいし……
そんな私に気づいたのか、今宮くんがそっと隣に来て耳打ちする。
「作れそう?」
「う、うん……でも……」
「大丈夫、自信持ちなって。俺もフォローする」
チラリと今宮くんと目が合う。
一瞬だったけれど、頑張れって言ってくれているようで……
ぐっと拳を握りしめ、深呼吸。
「あっ……ひぁの!」
噛んだ……どうして私はこうなんだ。
恥ずかしさで隠れたいけれど、そんな私を待たず、みんなの視線が私に集まる。
さっきまであんなに賑わっていたのがウソのように、静寂に包まれる。
私が話さないと、この空気はどうにもならなそうで……
「あっあの……そこにある調味料組み合わせて……タレ作れます」
「よ、よければ……作ってもいいですか?」
言った……!
けれど、引き続き静寂に包まれたまま。
怖くて俯いたまま、みんなの反応を見ることができない。
「えー!佐倉できんの?」
「佐倉さん料理上手って聞いたもん!きっとできるよ!」
「私お願いしたいな!」
少しして、次々とそんな声が聞こえてきたので、私は顔を上げる。
「まずは私たちから作ってもらっちゃおうかな!同じ班だしね」
篠崎さんが肩を組んで、中央のテーブルまで一緒に来てくれる。
ありがとう、すごく心強い。
応えるために、頑張りたい……!
よくある焼肉のタレ的な味でいいんだよね……大丈夫、頭に入っている。
置いてあった軽量スプーンを使いながら、タレを作っていく。