光王子と月夜のシンデレラ
「わぁ~可愛いわぁ、未桜ちん♡」
「えぇっと……」
「ちょっと!せっかく可愛く変身したんだからぁ~もぉ、自信持って」
「あ……ありがとうございます……椎名さん」
「もぉ~!しぃちゃんって呼んでってば♡」
「何がしいちゃんだ。史郎だろ」
「ちょっとなっちゃん!未桜ちんの前で変なこと言わないでくれる!」

ここは……どこなのだろう。
今宮くんの後ろを追って行き着いた先は、みなとみらいの高層ビル群の中のビジネスフロアの一角にある、ワンルームより少し大きいほどの部屋だった。

部屋には、たくさんの洋服がかけられたハンガーラックと、大きな鏡と椅子があり、机にはメイク道具やアクセサリーがたくさん。
洋服に囲まれている、小さな美容院のようなイメージだ。

そんな部屋にピンポンもノックもせずに入った今宮くんに驚きつつ、手招きされ私も入れてもらうと、中には1人の男の人がいた。

椎名 史郎(しいな しろう)さんと名乗ったその方は少し……いや、かなり独特で、オネエさんのような口調でシルバーのメッシュが入った長い髪をお団子にまとめている、20代から30代の男性だと思う。
ただ、ものすごく整った顔で、顔だけ見るとイケメンという部類なのかな。
史郎さんと呼ぶのは禁句で、しいちゃんと呼んでほしいらしい。……今宮くんは史郎と呼んでいるけれど。

部屋に通され、おびえながらその場に立ち尽くす私にお構いなく、しいちゃんは姿見越しに色々な服を合わせてきて。
すぐに「うん、これにしよ♡」と1着の服を渡してくれ、奥にあった別室で半ば強制的に着替えることになった。
着替えた後は訳も分からないまま椅子に座り、しいちゃんにヘアアレンジとメイクを施され、今に至る。

「あ、あのっ……これって……」
「未桜ちん、すごくきれいよ。どこから見ても素敵なお姉さん♡ねぇ、なっちゃんも何か言いなさいよぉ」
「……知らね」

デコルテラインに沿うようにキラキラ輝くビーズがあしらわれ、胸元に切り替えしがあるネイビーのAラインワンピース……いや、ドレスなのかな。
上にラメが入った白いボレロを羽織り、髪はしいちゃんが編み込みしながらサイドでアップにしてくれている。
確かに……しいちゃんのおかげで私じゃないみたいに綺麗に変身させてくれている。

「んもぅ!なっちゃんてば。ごめんね、未桜ちん。照れてるだけだから」
「いえ、あの……それより……」
「じゃあ行くか」

いや、それよりこの格好で、これからどこで何をするのかが気になりすぎるんですけど……!
< 7 / 70 >

この作品をシェア

pagetop