かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
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 次の日はファロニアからの連絡待ちでヴェデレに滞在することになってしまった。
 マルーシャにとっては休息になるしありがたいのだが、この先どうするのか気になる。街を散歩しつつミュシカをラリサに任せ、少しだけ後ろに離れているダニールとイグナートにこっそり尋ねた。

「ファロニアには、なんて連絡したんですか」

 マルーシャに不安げに話しかけられ、ダニールがまた息を詰まらせる。早く二人をくっつけなくては、そのうちダニールが死にそうだとイグナートは苦笑いした。

「状況を簡潔に伝えただけだよ。でさ、ファロニアから救出隊が出るならダニールも行きたいんだと。こいつは妖精相手ならすごい戦力だから。そうなるとマルーシャちゃんは俺らとミュシカと、先にファロニアへ行くのがいいと思う」
「……私たちも一緒ではだめですか。リージヤさんを取り戻したら、すぐミュシカに会わせてあげたい」
「――お母さま、いたの?」

 いきなり背後でミュシカの声がしてマルーシャは息をのんだ。ハッと振り向けば手につややかな木の実を持ったミュシカが目を丸くしている。きれいなドングリをマルーシャに見せたくて駆けてきたのか。追いついたラリサが手でごめんと謝った。

「私ならここにいるでしょ?」
「ちがう。お母さまなの」

 ごまかそうとしたマルーシャに、ミュシカはイヤイヤをした。バラバラと木の実が足もとに落ちる。

「マルーシャお母さまじゃない。お母さまよぅ」

 はっきり区別して否定され、マルーシャは心がチクリと痛むのを感じた。
 急ごしらえの母親なんて本物の代わりにはなれない。わかっているけれど。

「お母さま、お父さま、おむかえいく」
「こらミュシカ、聞き分けなさい」
「やだ! ダニールお父さまいくならわたしもいく!」

 ダニールが抱き上げるが、ポロポロと泣き出してしまったミュシカをどうにもできない。泣きじゃくる娘を間にして、かりそめの両親は困り果てた。



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