かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
春告げの姫を探してダニールがベルドニッツに訪ねてきたこと。ミュシカも一緒なこと。
ファロニアに向かう途中でメレルスの情報をつかみ、全員で救出に来たこと。ミュシカが「お父さま、お母さま」と呼ぶおかげで夫婦と娘だと思われがちなこと。
「それはたいへんな迷惑をお掛けして……あの子は宿に?」
「はい」
あまりの成りゆきに頭痛を起こしたような顔のルスランだったが、マルーシャは少し急ぐ。確認しなくてはならないことがあるのだ。ダニールたちはたぶん、もう追ってきてくれているはずだから。
「館でおまじないは通じないとメレルスが言っていました。本当ですか」
「ええ。歩いていい場所が決まっていて、その範囲では壁にも扉にもおまじないを弾くおまじないみたいなものが掛けられてるの」
それは――マルーシャは目をまるくした。おまじないは人の作った物には掛けられないのではなかったか。
「僕らは無理に破ろうとしなかった。むしろ腕力で壊すのなら、できるかもしれないんだが」
「はあ」
おまじない対、物理。どうなるのかマルーシャは見たことがない。
「でもそれは閉じ込めておくためですから、壁や扉にだけですね?」
「そうだね。どうして?」
「いえ。空間内すべてでおまじないが効かないんだと困るんですけど、それならなんとか」
その時、玄関付近でドーンッと大きな音が響き、マルーシャは口をつぐんだ。
「な、なに?」
身構えるルスランにリージヤがすがりつく。またガンッと館が揺れた。
「たぶん、ダニールさんたちです」
マルーシャは胸のペンダントをそっと握った。来てくれた。こんなにすぐに。
――それにしても、やることが派手だ。焦っているのか、あるいは雑にならざるを得ない事情が発生したか。
ファロニアに向かう途中でメレルスの情報をつかみ、全員で救出に来たこと。ミュシカが「お父さま、お母さま」と呼ぶおかげで夫婦と娘だと思われがちなこと。
「それはたいへんな迷惑をお掛けして……あの子は宿に?」
「はい」
あまりの成りゆきに頭痛を起こしたような顔のルスランだったが、マルーシャは少し急ぐ。確認しなくてはならないことがあるのだ。ダニールたちはたぶん、もう追ってきてくれているはずだから。
「館でおまじないは通じないとメレルスが言っていました。本当ですか」
「ええ。歩いていい場所が決まっていて、その範囲では壁にも扉にもおまじないを弾くおまじないみたいなものが掛けられてるの」
それは――マルーシャは目をまるくした。おまじないは人の作った物には掛けられないのではなかったか。
「僕らは無理に破ろうとしなかった。むしろ腕力で壊すのなら、できるかもしれないんだが」
「はあ」
おまじない対、物理。どうなるのかマルーシャは見たことがない。
「でもそれは閉じ込めておくためですから、壁や扉にだけですね?」
「そうだね。どうして?」
「いえ。空間内すべてでおまじないが効かないんだと困るんですけど、それならなんとか」
その時、玄関付近でドーンッと大きな音が響き、マルーシャは口をつぐんだ。
「な、なに?」
身構えるルスランにリージヤがすがりつく。またガンッと館が揺れた。
「たぶん、ダニールさんたちです」
マルーシャは胸のペンダントをそっと握った。来てくれた。こんなにすぐに。
――それにしても、やることが派手だ。焦っているのか、あるいは雑にならざるを得ない事情が発生したか。