かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
「ミュシカ、立派だったぞ」
冬を見事に制御したミュシカを、誇らしげにルスランがたたえた。
「みてた? わたしすごい?」
「ちゃんと見てたわ。とても綺麗で力強いおまじないだった」
言いながらリージヤの目に涙があふれた。心配で胸がつぶれそうだった甘えん坊の娘が、こんなに成長したなんて。
「お母さま」
母に泣きながら頬ずりされて、つられたようにミュシカもポロポロと泣き出した。
嬉し涙ではあるが、ミュシカの泣き声でハッとなったダニールは、マルーシャを抱く腕を離した。視線をからませた二人は一緒に硬直する。
作戦成功の勢いとはいえ、なんてことをしてしまったのか!
「あ……し、失敬! つい」
「いえ、いいんです……」
ホテホテホテホテ。
ぎゅん、と目をそらし照れ合う二人をながめ、イグナートは憮然とした。
なんだこれ、あいつらいつの間にくっついたんだ。
「……めでたしめでたし、と言いたいところだけど。これ、どう始末つけるんだよ?」
「真夜中とはいえ、好き勝手にやったものよね……」
ラリサもあたりを見回してあきれ顔だ。
キレたダニールの雑なことといったらなかったのだ。ろくに聞き取れない早口のおまじないを力任せにぶつける。
術で補強されていたらしい玄関の扉が大きく震えた。
それに舌打ちしたら脇の石積の壁にひびが入った。
なにやらブツブツ言った後に扉のおまじないが弾け飛んだかと思うと、次の瞬間に木っ端微塵だ。あんなに美しくないおまじない、見たことがない。
それは、キレたくなる気持ちをダニールが知った――マルーシャを愛した――という証拠なのだろう。でも後片付けはどうすればいい。
「まあ、今日のうちにバーベリさんが来てくれる……といいな」
「今日? ああ……日付、かわってるのね」
もう何もする気がなくなって、イグナートは肩をすくめた。あくびが出る。
今、何時だと思ってるんだ。俺はもう寝たい。
冬を見事に制御したミュシカを、誇らしげにルスランがたたえた。
「みてた? わたしすごい?」
「ちゃんと見てたわ。とても綺麗で力強いおまじないだった」
言いながらリージヤの目に涙があふれた。心配で胸がつぶれそうだった甘えん坊の娘が、こんなに成長したなんて。
「お母さま」
母に泣きながら頬ずりされて、つられたようにミュシカもポロポロと泣き出した。
嬉し涙ではあるが、ミュシカの泣き声でハッとなったダニールは、マルーシャを抱く腕を離した。視線をからませた二人は一緒に硬直する。
作戦成功の勢いとはいえ、なんてことをしてしまったのか!
「あ……し、失敬! つい」
「いえ、いいんです……」
ホテホテホテホテ。
ぎゅん、と目をそらし照れ合う二人をながめ、イグナートは憮然とした。
なんだこれ、あいつらいつの間にくっついたんだ。
「……めでたしめでたし、と言いたいところだけど。これ、どう始末つけるんだよ?」
「真夜中とはいえ、好き勝手にやったものよね……」
ラリサもあたりを見回してあきれ顔だ。
キレたダニールの雑なことといったらなかったのだ。ろくに聞き取れない早口のおまじないを力任せにぶつける。
術で補強されていたらしい玄関の扉が大きく震えた。
それに舌打ちしたら脇の石積の壁にひびが入った。
なにやらブツブツ言った後に扉のおまじないが弾け飛んだかと思うと、次の瞬間に木っ端微塵だ。あんなに美しくないおまじない、見たことがない。
それは、キレたくなる気持ちをダニールが知った――マルーシャを愛した――という証拠なのだろう。でも後片付けはどうすればいい。
「まあ、今日のうちにバーベリさんが来てくれる……といいな」
「今日? ああ……日付、かわってるのね」
もう何もする気がなくなって、イグナートは肩をすくめた。あくびが出る。
今、何時だと思ってるんだ。俺はもう寝たい。