かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
やはりそうか。母アレーシャの想いはマルーシャの中に伝えられている。だからマルーシャも春に愛されるのだ。
アレーシャはずっと願っていた。
娘がファロニアにつながり、妖精の故郷を知り、アレーシャの手からこぼれてしまった幸せを受け継いでくれるようにと。
今、それが叶えられる。アレーシャの心は春の風に乗って舞い、ファロニアへ、父のもとへ帰ってきた。
「――アレーシャ。すまなんだな」
侯爵がつぶやくと、春風は笑った。お互いさまね、と。
そして春はマルーシャを包む。この春にこめられた願いは消えはしない。ずっとマルーシャのもの。
それがわかって、マルーシャは春とうなずき合った。
「ヴェーナ、プラツミルテ サイルース」
告げられた春は、微笑みを残すようにして去った。
たちまち庭に秋が戻る。緑の蔦が再び赤く染まり、空気は乾いて香ばしく澄む。
「マルーシャ」
歩みよったダニールがハンカチを差し出した。マルーシャは泣いていた。
「――アレーシャさんなのか」
「そう。お母さん」
ハンカチで目を押さえ、マルーシャは笑う。
「だいじょうぶ、お母さんの力も心も私がもらったの。一緒にいられるから寂しくない」
「うむ――素晴らしい春だった」
声を掛けた侯爵の目も、わずかに濡れていた。でもマルーシャを見る顔は誇らしく輝いている。
「マルーシャ・アヴェリンを春告げの姫として認めよう。異論はないか」
ダニールもバーベリも、黙って頭を下げた。
アレーシャはずっと願っていた。
娘がファロニアにつながり、妖精の故郷を知り、アレーシャの手からこぼれてしまった幸せを受け継いでくれるようにと。
今、それが叶えられる。アレーシャの心は春の風に乗って舞い、ファロニアへ、父のもとへ帰ってきた。
「――アレーシャ。すまなんだな」
侯爵がつぶやくと、春風は笑った。お互いさまね、と。
そして春はマルーシャを包む。この春にこめられた願いは消えはしない。ずっとマルーシャのもの。
それがわかって、マルーシャは春とうなずき合った。
「ヴェーナ、プラツミルテ サイルース」
告げられた春は、微笑みを残すようにして去った。
たちまち庭に秋が戻る。緑の蔦が再び赤く染まり、空気は乾いて香ばしく澄む。
「マルーシャ」
歩みよったダニールがハンカチを差し出した。マルーシャは泣いていた。
「――アレーシャさんなのか」
「そう。お母さん」
ハンカチで目を押さえ、マルーシャは笑う。
「だいじょうぶ、お母さんの力も心も私がもらったの。一緒にいられるから寂しくない」
「うむ――素晴らしい春だった」
声を掛けた侯爵の目も、わずかに濡れていた。でもマルーシャを見る顔は誇らしく輝いている。
「マルーシャ・アヴェリンを春告げの姫として認めよう。異論はないか」
ダニールもバーベリも、黙って頭を下げた。