かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
眠るユーリィを抱くダニールと、ミュシカの手をひいたマルーシャ。
並んで町の中心部へと戻りながら、マルーシャは気になっていたことを訴えてみた。
「あの、ダニールさん。私に向かってあまり丁寧にされると落ち着かないんです。年齢を考えると」
「そう言われても。あなたは閣下の孫娘で、僕の仕事はあなたの迎えです」
「孫娘というならミュシカも同じでしょう」
「まあ……でもミュシカは僕の教え子でもあるので」
「教え子?」
「弟に頼まれたんですよ。ミュシカは妖精として強い力を持っているから。言ったでしょう、僕は妖精の専門家です」
さっきのおまじないなども含め、妖精としての生き方を教育しているのだそうだ。そう託された責任感もあり、姪の父親がわりをしているのかな、とマルーシャは考えた。
「ミュシカ、才能あるのね」
「わたし? さいのう?」
「いろいろなことを覚えて頑張れということだよ」
「うん、がんばる!」
とても素直な返事にマルーシャは微笑む。それをダニールは、横目でしっかり観察していた。
一緒に歩いてみて思った。やはりマルーシャは〈春告げの姫〉なのでは。その期待がふくらんで、探究心にウズウズしてしまう。
だがそれをあからさまにすると不快に思われるだろう。なのでダニールは必死に冷静をよそおっていたりするのだった。
「あ、いた!」
市場に近づいたところで向こうにいる男性から指差された。短めの赤毛と弾む足取りでこちらに来る。隣の女性がいたずらな表情でダニールの抱く男の子に目をやった。
「迷子は回収できたのね。よかったわ」
「お父さまのおまじない、だいせいこうなの!」
にこにこするミュシカと男女を見比べて、マルーシャは思い当たった。
――この二人が、ダニールに同行して来た騎士とその妻か。
並んで町の中心部へと戻りながら、マルーシャは気になっていたことを訴えてみた。
「あの、ダニールさん。私に向かってあまり丁寧にされると落ち着かないんです。年齢を考えると」
「そう言われても。あなたは閣下の孫娘で、僕の仕事はあなたの迎えです」
「孫娘というならミュシカも同じでしょう」
「まあ……でもミュシカは僕の教え子でもあるので」
「教え子?」
「弟に頼まれたんですよ。ミュシカは妖精として強い力を持っているから。言ったでしょう、僕は妖精の専門家です」
さっきのおまじないなども含め、妖精としての生き方を教育しているのだそうだ。そう託された責任感もあり、姪の父親がわりをしているのかな、とマルーシャは考えた。
「ミュシカ、才能あるのね」
「わたし? さいのう?」
「いろいろなことを覚えて頑張れということだよ」
「うん、がんばる!」
とても素直な返事にマルーシャは微笑む。それをダニールは、横目でしっかり観察していた。
一緒に歩いてみて思った。やはりマルーシャは〈春告げの姫〉なのでは。その期待がふくらんで、探究心にウズウズしてしまう。
だがそれをあからさまにすると不快に思われるだろう。なのでダニールは必死に冷静をよそおっていたりするのだった。
「あ、いた!」
市場に近づいたところで向こうにいる男性から指差された。短めの赤毛と弾む足取りでこちらに来る。隣の女性がいたずらな表情でダニールの抱く男の子に目をやった。
「迷子は回収できたのね。よかったわ」
「お父さまのおまじない、だいせいこうなの!」
にこにこするミュシカと男女を見比べて、マルーシャは思い当たった。
――この二人が、ダニールに同行して来た騎士とその妻か。