かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
どうせなら停まったついでだ、五人は乾いた野原に布を広げて腰をおろし休憩をとった。
自然の中でこんなふうにするのは初めてでマルーシャは深呼吸した。体に力をもらえる気がする。自分は妖精族なのだと血で理解できた。
ダニールが咲かせたアクイレギアがそこで揺れている。
季節外れの花はそれでも強く、喜びに満ちていた。このまま種を落とし、命をつなぐのだろうか。
ファロニアが小国のわりに栄えているのは妖精族の力が豊かな実りをもたらすからだった。
だがそれも、農民たちが毎日ゆっくりと大地の恵みを引き出すおかげ。小麦を急激に育てて二期、三期と収穫したりはできない。この花はあくまで例外だ。
「みんながダニールみたいだったら、やれるのかもねえ」
「食糧を増産できたら大国に対抗できるだろうな」
「いや」
ラリサとイグナートの軽口に、ダニールは首を振った。
「そんなに豊かな土地なら、と侵略されるだけだ。だから侯爵閣下もこのおまじないを広めようとはしなかった」
「世知がらいな、おい……」
もしそんなことが起こったら。
妖精の力が加わらないファロニアなど狭い国。広大な平野よりも収量はおとるだろう。侵略後、期待外れだと打ち捨てられ荒廃するのがオチかもしれない。
「僕の研究は、あまり役に立たないんですよ」
ダニールは少し悲しそうに告白した。それを受けてマルーシャはしばらく考える。そしてポンと手を叩いた。
「農業全部に使うわけにはいかないんでしょうけど、ピンポイントなら商売になるかも」
「え?」
「季節外れの花が欲しい人もいるものですよ」
マルーシャはにっこり笑った。
自然の中でこんなふうにするのは初めてでマルーシャは深呼吸した。体に力をもらえる気がする。自分は妖精族なのだと血で理解できた。
ダニールが咲かせたアクイレギアがそこで揺れている。
季節外れの花はそれでも強く、喜びに満ちていた。このまま種を落とし、命をつなぐのだろうか。
ファロニアが小国のわりに栄えているのは妖精族の力が豊かな実りをもたらすからだった。
だがそれも、農民たちが毎日ゆっくりと大地の恵みを引き出すおかげ。小麦を急激に育てて二期、三期と収穫したりはできない。この花はあくまで例外だ。
「みんながダニールみたいだったら、やれるのかもねえ」
「食糧を増産できたら大国に対抗できるだろうな」
「いや」
ラリサとイグナートの軽口に、ダニールは首を振った。
「そんなに豊かな土地なら、と侵略されるだけだ。だから侯爵閣下もこのおまじないを広めようとはしなかった」
「世知がらいな、おい……」
もしそんなことが起こったら。
妖精の力が加わらないファロニアなど狭い国。広大な平野よりも収量はおとるだろう。侵略後、期待外れだと打ち捨てられ荒廃するのがオチかもしれない。
「僕の研究は、あまり役に立たないんですよ」
ダニールは少し悲しそうに告白した。それを受けてマルーシャはしばらく考える。そしてポンと手を叩いた。
「農業全部に使うわけにはいかないんでしょうけど、ピンポイントなら商売になるかも」
「え?」
「季節外れの花が欲しい人もいるものですよ」
マルーシャはにっこり笑った。