かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~

 ふう、と寝る支度を始めたマルーシャをラリサは気づかった。

「ごめんね一日引っ張り回して。そのうえダニールが訳わかんない態度だし……」
「ううんいいの、楽しかったから……まあダニールさんは、ちょっと変かもね」

 さすがにマルーシャも苦笑いだった。
 初めて会った時の謹厳実直な雰囲気。実務にあたる大人な姿。妖精の力について語る熱量。おまじないを使ってみせる余裕。研究に夢中な少年の心。どれもがダニールなのだ。

「お父さま、へんかなあ」
「あはは、ごめんねミュシカ。とてもいい人だし、私は好きよ」

 唇をとがらせて考えるミュシカを、マルーシャは抱っこした。とたんに甘えん坊の顔になったミュシカがねだる。

「すき? ならお父さまとけっこんして」
「そういうことは代わりに申し込んじゃ駄目でしょ」

 隙あらば「お父さま」を売り込むミュシカに頬ずりして黙らせた。このままじゃうっかり婚約させられそう。だけど今度はラリサまでつぶやく。

「まあダニールは、夫としてはオススメよ」
「ちょっとラリサ」
「あ、ごめんね。でも本気。真面目で稼ぎが良くて浮気の心配ナシ。たぶん好きになった相手には一途だと思うわ。どう?」

 真面目に分析されてマルーシャはうろたえた。

< 52 / 144 >

この作品をシェア

pagetop