かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
✻ ✻ ✻
「……とまあ、そんなだ。今度は名前の出た商会のことを調べるよ。次のヴェデレは大きな街だし、中一日くれ」
翌朝コルニクを発った馬車の馭者台でコソコソ報告しながらイグナートは提案した。本来ならさっさとファロニアに向かうべきなのだろうが、せっかくつかみかけた手がかりだ。早急にルスラン夫婦の居所を調べたい。
「二泊するのか……この件はマルーシャさんには関係ない。回り道は申し訳ないよ」
「だあっ! 関係ないとか言ったら彼女泣くよ? 〈お母さま〉なんだからさ」
ミュシカの幸せにかかわることなのだから、きっと素通りする方が怒ると思う。それにこの時、馬車の中では女性陣もヴェデレでの予定について協議中だった。
「マルーシャの服を、もう少しそろえなきゃならないのよね」
「どうして? ベルドニッツで買い物はしたじゃない」
「ワンピースぐらいしか買わなかったでしょ。侯爵閣下に会うんだから、きちんとしたのがあと二着ぐらいほしいわ。着たきりでいるつもり?」
「う。そっか……」
まだ見ぬお祖父さん。堅苦しい人ではないと父は言っていたが最低限の礼節は守りたい。
「だから一日、ヴェデレで時間をもらいましょ。必要なことだもの」
「それでね、お父さまとお母さまのなかよしだいさくせんもするの!」
「ミュシカ、そこは小さな声でね」
昨夜の女子会の成果を嬉々としてしゃべるミュシカ。マルーシャはいたたまれずにうつむく。
「……とまあ、そんなだ。今度は名前の出た商会のことを調べるよ。次のヴェデレは大きな街だし、中一日くれ」
翌朝コルニクを発った馬車の馭者台でコソコソ報告しながらイグナートは提案した。本来ならさっさとファロニアに向かうべきなのだろうが、せっかくつかみかけた手がかりだ。早急にルスラン夫婦の居所を調べたい。
「二泊するのか……この件はマルーシャさんには関係ない。回り道は申し訳ないよ」
「だあっ! 関係ないとか言ったら彼女泣くよ? 〈お母さま〉なんだからさ」
ミュシカの幸せにかかわることなのだから、きっと素通りする方が怒ると思う。それにこの時、馬車の中では女性陣もヴェデレでの予定について協議中だった。
「マルーシャの服を、もう少しそろえなきゃならないのよね」
「どうして? ベルドニッツで買い物はしたじゃない」
「ワンピースぐらいしか買わなかったでしょ。侯爵閣下に会うんだから、きちんとしたのがあと二着ぐらいほしいわ。着たきりでいるつもり?」
「う。そっか……」
まだ見ぬお祖父さん。堅苦しい人ではないと父は言っていたが最低限の礼節は守りたい。
「だから一日、ヴェデレで時間をもらいましょ。必要なことだもの」
「それでね、お父さまとお母さまのなかよしだいさくせんもするの!」
「ミュシカ、そこは小さな声でね」
昨夜の女子会の成果を嬉々としてしゃべるミュシカ。マルーシャはいたたまれずにうつむく。