かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
 そりゃダニールは素敵な人だと思う。なんだかときめいてしまうような気がする。でもそれが恋だとは確信できないのがニブチンのマルーシャなのだった。だって自分に恋なんて似合わないと思っているから。
 仲良し大作戦とはつまり、ダニールにおまじないを教えてもらうだけだ。二人が距離を縮めるには、それぐらいしか口実がないとも言う。
 宿の部屋で二人きりにしてあげるから、と言われたがそんな状況になっても何もアピールできない自信がマルーシャにはあった。

「……マルーシャからアプローチは難しいと思うけどねえ」
「ラリサぁ……」
「でもダニールはマルーシャのこと認めてるし、特別な人だと考えてるわ。尊敬する方向性なのが意味わかんないんだけど」
「それって、特別(・・)の意味がぜんぜん違わない?」

 ダニールが抱いてくれている感情がどうにも理解できない。マルーシャの気持ちも、いわゆる恋なのかわからない。なのでいくら二人で時間を過ごそうとも、恋人になんかなる気がしない。

「ずっと教師と生徒な気がする……」
「それ、わたしとお父さまとおんなじ!」

 ミュシカが嬉しそうにした。
 幼女にとっては大好きなマルーシャとダニールと自分が同じなのは、ただ喜ばしいだけだ。
 恋愛などまだまだ実感のない五歳のミュシカなのだが、それとあまり変わらないレベルの自分にマルーシャはため息をついた。

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