かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
✻ ✻ ✻
この地方最大の街、ヴェデレ。
コルニクからはそれなりに距離があるので到着したのは夕刻だった。今日は移動だけに時間を取られたので買い物などは明日にする。
部屋にいったん落ち着いたマルーシャを遠慮がちに訪ねてきたのはダニールだった。食事までの間におまじないの講義をしてほしいと伝えておいたのだ。
「お願いしちゃってすみません。お祖父さんに会う前に、少しでもできるようになっておきたくて」
マルーシャが照れくさそうに申し出ると、ラリサはサッとミュシカの手を引いた。
「じゃあ私たちはイグナートのところに行ってましょ。集中して勉強しないとね」
「え、おいラリサ」
ダニールの困惑にも、ミュシカは大人しくバイバイする。だってこれは仲良し大作戦なのだから。
二人きりで残され、マルーシャは申し訳なさを押し隠して気合を入れた。恋愛はともかく、おまじないを習いたいのは本当なのだ。気にせず教えてもらおう。
「……ミュシカのご両親のこと、進展してるんですよね。なら私もちゃんと戦えるようになった方がいいと思います。私だってミュシカを守りたいから。お母さまなんですし」
「そういうことでしたか」
宿で勉強をと言った意味を取りつくろったらダニールが深々とうなずいてしまった。マルーシャの胸がチクンと痛む。なんだかだましているみたいな気がした。
でも、ミュシカが危険にさらされた時に使えそうなおまじないを教えてほしい。その気持ちは本当だ。
「この国に誘拐犯がいるかもしれないなら、いつ何があってもいいように頑張ります」
「疲れていませんか」
旅慣れないマルーシャをダニールは気づかった。いちど熱を出したことで、ダニールの中でマルーシャはいたわるべき人になっている。中身を「たくましい」と評してはいるが体は繊細な女性だと思っているのだった。
この地方最大の街、ヴェデレ。
コルニクからはそれなりに距離があるので到着したのは夕刻だった。今日は移動だけに時間を取られたので買い物などは明日にする。
部屋にいったん落ち着いたマルーシャを遠慮がちに訪ねてきたのはダニールだった。食事までの間におまじないの講義をしてほしいと伝えておいたのだ。
「お願いしちゃってすみません。お祖父さんに会う前に、少しでもできるようになっておきたくて」
マルーシャが照れくさそうに申し出ると、ラリサはサッとミュシカの手を引いた。
「じゃあ私たちはイグナートのところに行ってましょ。集中して勉強しないとね」
「え、おいラリサ」
ダニールの困惑にも、ミュシカは大人しくバイバイする。だってこれは仲良し大作戦なのだから。
二人きりで残され、マルーシャは申し訳なさを押し隠して気合を入れた。恋愛はともかく、おまじないを習いたいのは本当なのだ。気にせず教えてもらおう。
「……ミュシカのご両親のこと、進展してるんですよね。なら私もちゃんと戦えるようになった方がいいと思います。私だってミュシカを守りたいから。お母さまなんですし」
「そういうことでしたか」
宿で勉強をと言った意味を取りつくろったらダニールが深々とうなずいてしまった。マルーシャの胸がチクンと痛む。なんだかだましているみたいな気がした。
でも、ミュシカが危険にさらされた時に使えそうなおまじないを教えてほしい。その気持ちは本当だ。
「この国に誘拐犯がいるかもしれないなら、いつ何があってもいいように頑張ります」
「疲れていませんか」
旅慣れないマルーシャをダニールは気づかった。いちど熱を出したことで、ダニールの中でマルーシャはいたわるべき人になっている。中身を「たくましい」と評してはいるが体は繊細な女性だと思っているのだった。