かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
「ぜんぜん駄目じゃないです。そういう人だとわかってますし、言ったでしょう、面白いって」
「あなたは……器の大きい人だ」

 女性へのほめ言葉としてそれは適切なのだろうか。なんとなく釈然としないものを感じたが、マルーシャはニッコリうなずいてみせた。

「アクセサリーをというのは、ミュシカの両親のことにつながるんですね?」
「はい」

 ダニールは過去に会ったメレルスという男とザラエの商人が同一人物なら、という推論を話して聞かせた。
 なんてことだ。マルーシャはため息をもらす。それは思いついたら顔色も変わるだろう。弟夫婦の行方不明の原因がダニールだなんて。
 どう言ってあげればいいかと考え、マルーシャはいちばん前向きな言い方を選んだ。

「手がかりが見つかってよかったです。これが当たりなら二人を取り戻せますね」

 なるべくニコニコと言ってみたら、ダニールは妙なものでも見るような顔になった。

「マルーシャさん……あなたも面白いです」
「そんなことないでしょう」

 なんだか心外だった。ダニールの方がよっぽど変わっているのに。不満そうにしたらダニールは笑った。

「そこは普通なぐさめるものじゃないんですか。よかったと言われるとは思わなかった」
「……元気出してってなぐさめても、元気ってなかなか出ませんから」
「そうなんですね」

 ダニールは安堵したような笑顔を見せた。

「肚が決まりました。あなたがいると前を向ける。ありがとうございます」
「……そんな」

 そんな風に言われたらマルーシャは照れてしまう。でもダニールはいたって真面目だ。
 マルーシャは言うこと為すこと明るい春の息吹のよう。ダニールはそう感じた。
 いつだってダニールが考えるよりも良い方へ、嬉しい方へ、明るい方へ導いてくれるマルーシャ――だから、守りたいと思う。
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