かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
すべての買い物を済ませて宿に戻ると、イグナートが先にいて迎えてくれた。
「お帰り。買い物終わったか?」
「なんとかね。ダニールを見ればわかるでしょ」
荷物持ちとなったダニールは、両腕に箱やら袋やらを満載している。マルーシャは申し訳なく思っていたのだが、ラリサが容赦なく持たせたのだ。
「イグナートは早かったな。どうだった」
女性たちの部屋に戦利品をおろしたダニールに、イグナートは真面目な顔になった。チラリとミュシカを見る。
本当の両親に関することは、まだ聞かせたくなかった。マルーシャはさりげなく言った。
「ねえミュシカ、服と帽子を合わせたいんだけど。見てくれる?」
「わあ! じゃあ、おくつもはかなきゃ」
「そうね、ぜんぶ着てみましょ」
これで女子会が始まるのでダニールたちはゆっくり話せる。イグナートがニッと笑って親指を立てた。
「楽しそうだな。ダニールがのぞかないように見張っておくわ」
「僕はのぞいたりしない!」
「お父さま、みちゃだめ!」
ミュシカは笑ってダニールを追い出す。イグナートも笑って退散した。
スルリと隣室に入り扉を閉めると、イグナートの視線が鋭くなった。
「当たりだ。ザラエの商人がロジオン・メレルス」
「――そうか」
誘拐の原因はダニールだと確定してしまった。
だがマルーシャ的解釈なら行方の手がかりがつかめたとも言える。ダニールはうつむきかける顔を上げ、イグナートの報告を聞いた。
「ロジオン・メレルスは妙な勘のはたらく奴だと言われてるらしい」
「それは、妖精の力かな」
「そういうことだろう――今年は雨が多いと予言しておいて自分で雨乞いするとかさ。やりようはある。あまりおおっぴらじゃなきゃいいんだが」
渋い顔のイグナートの報告にダニールも眉をひそめた。
「お帰り。買い物終わったか?」
「なんとかね。ダニールを見ればわかるでしょ」
荷物持ちとなったダニールは、両腕に箱やら袋やらを満載している。マルーシャは申し訳なく思っていたのだが、ラリサが容赦なく持たせたのだ。
「イグナートは早かったな。どうだった」
女性たちの部屋に戦利品をおろしたダニールに、イグナートは真面目な顔になった。チラリとミュシカを見る。
本当の両親に関することは、まだ聞かせたくなかった。マルーシャはさりげなく言った。
「ねえミュシカ、服と帽子を合わせたいんだけど。見てくれる?」
「わあ! じゃあ、おくつもはかなきゃ」
「そうね、ぜんぶ着てみましょ」
これで女子会が始まるのでダニールたちはゆっくり話せる。イグナートがニッと笑って親指を立てた。
「楽しそうだな。ダニールがのぞかないように見張っておくわ」
「僕はのぞいたりしない!」
「お父さま、みちゃだめ!」
ミュシカは笑ってダニールを追い出す。イグナートも笑って退散した。
スルリと隣室に入り扉を閉めると、イグナートの視線が鋭くなった。
「当たりだ。ザラエの商人がロジオン・メレルス」
「――そうか」
誘拐の原因はダニールだと確定してしまった。
だがマルーシャ的解釈なら行方の手がかりがつかめたとも言える。ダニールはうつむきかける顔を上げ、イグナートの報告を聞いた。
「ロジオン・メレルスは妙な勘のはたらく奴だと言われてるらしい」
「それは、妖精の力かな」
「そういうことだろう――今年は雨が多いと予言しておいて自分で雨乞いするとかさ。やりようはある。あまりおおっぴらじゃなきゃいいんだが」
渋い顔のイグナートの報告にダニールも眉をひそめた。