かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
ダニールの物思い
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ダニールから贈られたペンダントトップは小さな水晶だった。透きとおる輝き。
店ではガーネットやエメラルドも勧められた。「奥さまの栗色の髪や瞳ならば映えますよ」と言われたが、ダニールはうつむいて拒否したのだ。
「ちゃん身を飾る品は、僕が贈るべきではありませんから」
マルーシャはその言葉に小さな痛みを覚えつつうなずいた。
「――石を、お守りに仕上げましょう」
夜の宿。食後にくつろぐ女性たちの部屋に来て、ダニールは言った。イグナートも興味津々であらわれ、けっきょく全員集合だ。
仕上げる、とはなんだろう。
言われるままマルーシャはペンダントを外し、差し出された手のひらに預ける。それを小机に置くとダニールは椅子に腰をおろした。周りをみんなが囲む。
ダニールはマルーシャを見上げ、はにかむようにお願いした。
「――あとで僕に、〈痛いの飛んでけ〉をやってくれますか」
「え、怪我しました?」
「いや。これからしようと思います」
は?
何を言っているのかわからないマルーシャの前で、ダニールは小刀を取り出した。その先を自分の指先に当てる。
「や、ちょっと何を」
「シッ」
うろたえるマルーシャを制止し、ダニールは続けた。プツ。
傷ついた指先に血が盛り上がった。それを水晶の上に持っていき、垂らす。
「――――」
ダニールはほとんど口の中だけで何かをつぶやいた。聞き取れない。
だがそこに、力が渦巻く。
そしてその力と共に、透明な石はダニールの血を吸っていき――綺麗な紅い石ができあがった。