履歴書からの一目惚れ〜若き社長は小悪魔メイクがお気に入り〜
「万珠、万珠」
万珠は頭を上げた。
「行くぞ」
「あっ、うん…」
万珠は慧介の後をついて歩いた。
いつもなら腕を絡めて隣に並んで歩くのに、何故か今は出来なかったのだ。
慧くんも手を繋いでこなくてポケットに手を入れている。
レストランに着くと慧くんが軽めのワインを食前酒として英語で頼んでくれた。
軽くグラスを合わせて乾杯と言ったが慧くんに笑顔はない。
「社長」
慧介が顔を上げた。
「ん?」
「さっきの電話って安達さんですか?」
慧介はすぐには返事をせず口の中を空にしてワインを飲んでから
「そうだ」と返事をした。
「今日は三浦が急な休みだからとりあえず安達に結果を連絡したまでだ」
「三浦さん、お休みだったんですね」
「タブレット見てないのか?」
「すみません…」
自分の事で朝から精一杯だった万珠はタブレットを今日は開いてなかったのだ。
いつもなら楽しい食事も今日は2人とも言葉少なくコース料理を終えた。
レストランを出ると慧介はホテルとは反対の方に歩いていく。
万珠はついていくだけだ。
少し歩いていくと夜のライトアップをされたエッフェル塔に着いた。
「わぁ、綺麗、昼に見るのと全然違いますね」
「綺麗だ」
慧介はスマホをポケットから出して写真を撮っていた。
「万珠、こっちへ」
万珠を呼ぶと2人はエッフェル塔をバックに自撮りをする。
「いい記念だ、今の送るな、あとエッフェル塔の夜景はSNSは禁止、だから俺と万珠だけのものだ」
そう言うと慧介は万珠のスマホに写真を送った。