履歴書からの一目惚れ〜若き社長は小悪魔メイクがお気に入り〜
全く嬉しそうに話すな。
「あのね、結婚を前提にって言われたの」
「万珠さ、俺しか話せるやついないんだろ」
「…うん…会社の同期からは何故か避けられているような気がしていて、ちょっと寂しいかな、10人もいるのにね」
楓珠はアイロンをかけていた万珠の髪の毛を優しく触った。
「万珠は悪くない、万珠が可愛いから羨ましいんだよ、きっと」
「ありがとう、楓珠」
「ムスッとしているよりよっぽどいい、俺だって親父の会社に入ったらニコニコしなきゃ客からクレームがくる時代だ」
「そうだね、楓珠の仕事も大変なのはわかってるよ、だから今は自由にさせてくれてるんだから」
「まあ、何カ国語話せるようになるかわかんないけどさ、外国人観光客の多い今の日本、なんとかおもてなしは仕事としてするつもりだ」
「うん、頼もしいね」
「じゃあさ、俺、社長の事って兄貴って呼んでいいんか?」
「まだダメ!」
「ダメか」
「ダメだよ(笑)」
楓珠は双子だけあってすぐ誰とでも距離が近くなれる性格で、人見知りしないのは同じだ。
もちろん慧くんとは仲良くなって欲しいけど…と思いながらメイクを少し濃く変えて慧くんの好きな小悪魔メイクに仕上げていく。
「よし、出来た、どう?」
「いい女」
「楓珠もかっこいいよ」
2人は部屋から出て、ロビーで慧介兄弟と合流し、改めて楓珠はきちんと自己紹介をしたのだった。