履歴書からの一目惚れ〜若き社長は小悪魔メイクがお気に入り〜
慧介が戻ってきて、ピザとサイドメニューがテーブルに並ぶ。
「まずは乾杯」
プシュっと缶ビールを開けると缶を合わせた。
「腹減ってるんだろ、先に食おう」
「いただきます」
慧介はピザを大きな口を開けて頬張った。
万珠は美味いと言いながらピザを食べている社長を見て指が慧介の口唇に伸びた。
「ん?」
「社長、チーズがついてますよ(笑)」
チーズを指で取るとペロッと自分の指をなめる。
「ゴホッゴホッ」
「大丈夫ですか?」
「お前なぁ…」
「ん?」
万珠は首を少し傾けた。
「無自覚かよ…全く…小悪魔め」
慧介は近くのティッシュを取り、口を自分で拭いた。
「あっ!小悪魔で思い出した」
「そういえば…」
慧介は食べながらスマホを開いた。
NUAGE(ニュアージュ)のホームページの予約状況
「爽平さんと怜央さんは月に1度店で施術するんだよ」
「へぇ」
「有名人のライブとかTV出演とか外の仕事の方が多いんだ…まだ今月の予定は出てないな、チェックしとかなきゃ、今度営業からcuteのサンプルをもらっておくかないとな」
「それ、万珠が使ってもいいんですか?」
「サンプルだから構わないよ、cuteのコスメ買うなら社員割引もあるだろ、なんなら俺が買ってやるぞ、万珠は持ってないんだろ?」
「何で知ってるの?」
「撮影の時に言っただろ?」
そうだった、よく覚えてくれてるな。
「受ける会社の事を全く知らずに受けるなんて逆に面白いと俺は思って採用した、あと、か…」
「ん?」
「いやなんでもない」
危なく顔と言う所だったと慧介は焦った。
「だって……実家に帰るか迷っててcuteしか受けなかったから」
「実家か…兵庫だよな」
「何で知ってるの?」
「履歴書、卒業校書いてあるし」
あっ、そっかとうんうんと首を縦に振る。
「今週末にパスポートを取りに帰らなきゃ」
「今週末?」
「はい」
慧介はスケジュールを開いた。