履歴書からの一目惚れ〜若き社長は小悪魔メイクがお気に入り〜
上書き
「万珠?」
頭の上から声がして、万珠は上を向いた。
「どうした、今日はモデルの仕事だったはずだろ?」
「うっ、…慧くん…」
万珠は立ち上がり慧介の胸に飛び込んだ。
「うっ、うっ、…」
「どうした、上がっていくか?」
「…うん」
万珠は慧介に手を引かれ、泣きながらエレベーターに乗った。
部屋に入り、万珠はソファに…
「何か飲む?」
万珠は首を振って顔を手で覆っている。
慧介は水を持って万珠の隣に座った。
「撮影で何かあったのか?」
「万珠ね、今日…気持ち悪いキスを経験してしまったの」
「はあ?どんな撮影だよ」
「ウェディングモデルだったの…相手の人にキスされた……」
万珠は慧介の胸に頭をつけた。
「それは最初からの演出?」
首を横に振る。
「振りで良かったはず、近くにカメラはなかったし、言われてないもん」
「何だそれ、どこのどいつだ!万珠を泣かせやがって」
「事務所は違うけど歳が近いから撮影で何度も一緒になったことはあるの、ご飯とかは食べに行くくらいの友達だったのに……嫌いになっちゃった」
「弁護士つけるか?セクハラだぞ」
「モデルってどこまでしなきゃいけないのかな?慧くんは撮影でキスしたことある?」
「あるけどちゃんと台本があったよ、説明もされた」
「じゃあやっぱり貴明が勝手にしたんだ…」
「貴明って言うんだ、どこの事務所?俺が潰そうか?」
「ぷっ、ダメだよ慧くん、そんな事しちゃ」
「万珠に手出すなんて許さねぇ!」
「キスくらい経験済みだろって……万珠ってそんな風に見られてんだって思った」
「まあ、万珠のファーストキスを貰ったのは俺だけどさ…ごめん」
「それは万珠も悪かったし…万珠ってモデルの自覚が足りないのかな」
慧介は万珠を抱きしめた。