履歴書からの一目惚れ〜若き社長は小悪魔メイクがお気に入り〜
機嫌が悪い?
ロッカーでポロシャツに着替えていると佐川さんが声をかけてきた。
「白鳥さん、おはようございます」
「あっ、おはようございます」
万珠はいつものようにニコッと微笑む。
佐川さんは黒縁メガネの奥からじっと万珠を見ている。
「えっと…何かおかしい?」
「いえ、今日は何だか大人っぽいというか…」
「ふふっ、嬉しい、少しメイクを変えてみたの、スカートもタイトだからかな」
「メイクでそんなに変わるんですか?」
「涙袋を作ったからかな、あとラメも多めに、口紅を変えるだけでも印象って変わるよ、佐川さんはメイクに興味はない?」
「そうですね、あまり…めんどくさいが先にきちゃって、最低限しかしてないです」
2人で話しながら総務部のフロアへ行った。
「おはようございます」
「おはよう」
安達さんが先に席にいた。
いつもなら万珠の方が早いのに、珍しいな…
「あら、昨日美容院行くって…髪は切った?」
「あっ、美容院は行ったんですが昨日はヘアじゃなくて、メイクを教えて貰いに行ったんです」
「メイク?そう言えば今日は違うわね」
「はい、濃いすぎますかね?」
「それくらいなら大丈夫じゃない」
「良かった」
「男を誘惑しなければね…」
「えっと…どういう意味ですか?」
万珠は首を傾げた。
「社長の車にいたでしょ」
「…はい、拾ってもらいました」
「あそこは会社の人間もよく利用するから気をつけた方がいいわよ、私、今日は車で来て、パーキングに停めたから白鳥さんが見えたの」
「安達さんは社長の車をご存知なんですね」
「もちろん」
「そうですか、気をつけます」
万珠は席に座りパソコンを立ち上げた。
しばらく無言になり、三浦が入ってきた。
「おはようございます」
『おはようございます』
「昨日はお疲れ様でした」
三浦さんは安達さんにそう言った。
「お疲れ様でした」
と安達さんも返す。