履歴書からの一目惚れ〜若き社長は小悪魔メイクがお気に入り〜
万珠の優しさ
社長の前にも出すと
「俺、作法とか知らないよ?」
「どうぞ、普通に飲んでください(笑)」
慧介は茶碗を持ちごくんと飲んだ。
「美味いな、抹茶味のスイーツとかは嫌いじゃないけど抹茶自体を飲むことがあまりなかったからな」
「私が出しても慧介は苦いって言って飲んでくれなかったの」
「いやいや、子供の時に出されて、正座もしてさ、苦いしかなかったよ、それから抹茶自体は飲んでなかった、抹茶アイスは大好き」
「最近、フランスでも抹茶はブームなんですよ」
椿さんが話してくれた。
「そうか、お土産に持っていこうかな」
「いい考えだと思います、お店でしっかり荷造りしてもらえば大丈夫かと」
「白鳥さん」
「はい」
「とても美味しいわ」
慧介の母親は満足そうだった。
「ありがとうございます」
椿さんが師範からの褒め言葉ねと言った。
「えっ、そんな方に簡易的なお茶を出して恐縮です」
「慧介から抹茶が好きと聞いていたの?」
「はい」
「お湯入れるだけでいいって言ったけどダメって買いに走ってくれたんだ」
「家で自分だけ飲むなら自由だけど、もてなすのは違うわね、それなら普通の緑茶か煎茶でいいもの」
「はい、味が全然違いますよね、泡が立たないので」
「俺が抹茶が好きって言っちゃったからな、悪かったな白鳥」
「いえ、出すぎた事をしたなと後で思っていて…」
「気にするな」
「はい」
「今日は指導ばかりで飲めてなかったのよ、嬉しかったわ」
「それでお着物を…素敵ですね」
「ありがとう」
「椿さん、またフランスで会いましょう」
「よろしくお願いします」
2人をビル前でタクシーに乗せて、慧介と万珠は見送った。