極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 今度ゆっくり、お茶でも飲もう――それきり彼は去ってゆく。
 当の私はというと……そこで完全に固まっていた。

「あ……頭、撫でられてしまった……」

 異性に頭を撫でられることが、こんなに恥ずかしいとは。
 話の流れで他意はなくとも、悔しいというか……本当にびっくりだ。

 孤児だった私は人からの優しさを受けた記憶があまりない。
 とりわけどうしたって警戒対象な男性からの接触なんて、いつもであれば反射で防げていたはず。

 その分厚い心理的防壁を、容易くすり抜けるなんて――。

(くっそ~……アルベール様って、思ったより危険な存在なのかも)

 これもあの女性的な容姿と穏やかな雰囲気がなせる技か、それとも。

(はあ……気を緩めすぎ。よくないね)
< 116 / 562 >

この作品をシェア

pagetop