極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
「……バルミィ・ブリーズ堂のレモンタルト。ワンホール」
「ホールで⁉ 冗談でしょ⁉」

 バカ丸出しの宣言に振り返ると、ポピアは人差し指と親指で丸を作り、青い顔でよだれを垂らす。

 バルミィ・ブリーズ堂はポピアお気に入りの洋菓子店で、上質な素材を使いつつも庶民に手の届くリーズナブルな値段を実現した素晴らしいお店だ。ファンも多く、貴族の人もお忍びで買いに来るほどらしい。

 にしてもワンホールはどうかと思うけど……ま、食べ切れなかったら研究室の人たちへの差し入れに回せばいいか。

「わかったわよ。太っても責任は取らないからね」
「うへへ……いってらっしゃい。早く帰って来てね」

 シーツの下で丸くなったポピアの背中をポンと叩くと、私は忘れまいと出がけに、窓際の鉢植えに水と微量の聖力を注いだ。

 手を包んだ仄かな光がふわっと、中で眠る種子へ注がれ、土を内側から照らす。
 まだ芽も出ていないが、わずかずつだが放つ光が力強くなっている。どんな花を咲かせるのか、今から楽しみ。
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