極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 鈴井紙折(スズイシオリ)……それが前世での私の名前。
 今も大概だけど、終わってみれば向こうでもろくな人生じゃなかった。

 親も知らず児童養護施設で育てられた人間に、まともな仕事があたる優しい社会じゃない。バイトで稼いだ日銭を家賃と食費に費やす虚しい日々。昨今親ガチャなんて言うけど、そのガチャの権利すら予め剥奪される者もいるのだ。

 それでも……生きていさえすればいつか、この不運を帳消しにする出来事があるはず――一旦生まれたら、そんな希望に縋って生きるしかないじゃない。

 だからそれだけを胸にウエイトレスから工場勤務まで、施設を出た後手あたり次第に働き通信制の高校を卒業。お次は専門学校に通う学費集めの予定、だったんだけど。

 がむしゃらに働いても手元には一向に残らない状況に焦りを感じ、仕事を増やしたら今度は過労。入院費でわずかな蓄えすら消え、路頭に迷い人生を絶望しかけた時……交通事故に遭った。

 即死――だった、多分。前世の最後の記憶はクラクションと眩しい車のライト。今となっては痛みや苦しみの記憶がないこと……だけが救い、かな。
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