極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
「あの時のやり取りがあったればこそ、私も魔帝国とのパイプを作れた。魔女と魔道具……あれらはずいぶんと役に立ってくれた。ふ……いつの世も不思議なものだな。こんなにも恵まれた国家でさえ、不満を抱き、安定を望まぬ人間が出てくる」
「アタシらのようにね。ったく、つまんない時代だよ……自分で何か起こさなきゃ、成り上がる機会すら訪れやしない」

 ヴィーナは自慢の紅髪をがしがしとかき乱すと、粗暴な笑みを浮かべた。

「くふふ……下っ端聖女どももかわいそうに。まさかあいつらが駆けずりまわって死ぬ思いで対処してる魔物騒ぎが、同じ国の人間の仕業だと知ったら、どんな顔をするか」

 そして彼女は周囲に誰もいないことを確認すると、馬車の陰で私の耳元に顔を寄せ、囁いた。

「それをアタシが収めてみせりゃ、大層な評価がもらえる。逆にこれまで手をこまねいたルイーゼは失脚だ。んで筆頭聖女の座を射止めた暁にゃ、制度を復活させ、二代目大聖女として会を欲しいままにするってわけだね。くひひ、そうなったらもちろん、後で礼はたんまりとくれてやるさ。なんだってね……」
「期待しているぞ」

 ヴィーナは微かに首元に唇で触れると、その場から消えた。
 私も迎えの馬車へと乗り込むと、窓から見える平和な景色に鼻を鳴らす。
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