極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
(……まったく。何も知らん下々が。目の前のことにあくせくと汗を流せば、何の不満も感じず生きていける。その恵まれた生活を維持するために、貴き我々がどれだけの時間と犠牲を払っているか……。そんなことだから国の裏で何が起きているかも気付かんのだ)

 誰もが、自分が生きている間は戦争などなく、魔物も聖女や聖騎士が勝手に対処してくれると思い込んでいる。命懸けで何かと戦うことなど想像もしない。あり得ないことだと、そう信じ切ってしまっているのだ。

 だが、もうすぐそんな日常は破壊される。
 今まで常識だと思っていた全てが覆り、大勢の国民が血を流すやもしれん。だが、その犠牲が今の王国の形を大きく崩し、新たな国家へと組み変えてゆく。

(そう……貴様らがなるのだよ。私が頂点へ上り詰めるための踏み台にな。フ……ククククク)

 元は中級貴族の倅でしかなかった私が、この平和な時代で国王の側近にまで上り詰めるのは、相当な苦汁を飲む必要があった。

 魂を悪魔に売る覚悟で上司の靴を舐め、恩人友人は蹴落とし陥れ、家族すら蔑ろにし……あらゆる者から奪い尽くして二十余年……。
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