極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 参加者の中にはなんの根拠があるのか、「この杖壊れてる! 私に聖女の資格がないはずない!」なんてわめき散らす人や、掴みかかってくる人もいる。
 だがそれもシスターの年季の入ったひと睨みに即刻蹴散らされていった。あの性悪婆さんが怒った時の迫力ってば、本当におっかないんだ。

 そうして、コチ、コチ、コチ……懐中時計の硬い音が耳から離れなくなった頃。ようやく選別が終わりに近づき、堂内に重たい空気が立ち込めてくる。

(この子で最後ね)

 最後尾の女の子も、奇跡を信じてそれはもう真摯に祈る。

 だが聖杖は反応を示さず……秒針が一周すると、うなだれた少女が席に戻るのを見届けたシスターが笑顔で粛々と報告した。

「残念なことですが、今期、どなたかに聖女のご加護が与えられることはありませんでした。しかしそれは、未だ聖女の力を必要とする危機がこの世界に訪れていない証。このまま平和を尊び、清貧を貫いて粛々と暮らしなさい――私には、神がそのようにお伝えくださったように思えます。では各々、くれぐれも身のために合った生活を心がけますように……解散」
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