極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 途端静寂が消え、元通りの喧騒を取り戻す食堂。
 彼は文句を言いたてようという私の唇にそっと人差し指を突き出し呟く。

(この奇跡は、母上から受け継いだもの。聖王家に連なる男子は、長い歴史の末特別な才能を獲得した。奇跡が扱えることが王たる資質のひとつとして数えられるようになったのだ)
(そ、そうだったんですか)

 たった数秒の行いに周りは偶然だと思ったのか、不思議な顔をしながら雑談に戻る。

 今の出来事が信じられず、目を白黒させる私を前に殿下はおもむろに席を立つと、見下ろしながら言った。

「ふっ、お前の間抜け顔が見れて満足した。今日のところは帰るとしよう。ちなみに今回の件、失敗すればお前は一生オレの召使いだからな。扱き使ってやる……覚悟しておけ」
(げっ……)
「だがオレも悪魔ではない。代わりに成功すれば、オレの権限でなんでもひとつ望みを叶えてやろう。精進せよ……はっはっはっ!」

 突然の宣言に顔を顰めた私。
 それを見て輪をかけ楽しそうにすると、殿下は開けっぴろげな高笑いを上げつつ退室してゆく。
< 241 / 840 >

この作品をシェア

pagetop