極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
『初めまして……か。不思議なものだ、私は自らの奇跡で覗いた未来よりお前の存在を知ってから、その姿を度々頭の中で目にしてきた。どうも旧知の人間と再会したような、やや懐かしい気分でいる』

 彼女の役割は、その奇跡によって聖王国に災いが起こらないよう監視すること。
 その力は、物に宿る記憶を垣間見るという特殊なものだ。
 過去から現在へ…そしてそこから延々と続く道筋を辿って、未来までも。

『じゃあ、その力で私が聖女に目覚めるところを見たと?』
『正確には、聖女になったお前がしでかしたこと、いくつかをな。あの世界書に触れることで』

 マール様はこの奇跡で、直接人の記憶を見ることはできないようだ。
 膨大かつ生々しい感情が付随した人の記憶を流し込まれることで、一度心が壊れかけてしまったらしい。

 だから彼女は物に宿る記憶を見る。
 それは人に比べ小さく断片的なものだが、持ち主などが強く想いを込めた時、縁のある物体も、微かにだがそれを記憶として蓄積する。

 それにより、マール様は現在の守護役となった王妃ティリシャ様の記憶を世界書から読み取り、そこから分岐してゆく未来のいくつかで私の存在を知ったと、そう説明してくれた。
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