極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 だが、振り返るもそこには誰もおらず、視界の奥にうっそうとした緑が広がるだけ。場違いな私が気に入らない誰かに睨まれたりしたのかと思ったけど……。

「神経質になりすぎかもね……あ、ポピア~!」
「シーリ! ちょっと手伝ってぇ、これから皆の晩御飯作るんだって~! ……え、薪をくべすぎ? わちゃちゃちゃ~!」

 ここまで本気の戦いに出くわすことなんてほぼなかったし、きっと気が昂っているだけ。

 結論づけると、私は近くで兵士たちに混じって火起こしを練習しているポピアに苦笑し、岩山から滑り降りていく。あらら、彼女の手や袖、煤で真っ黒だ――。



 その頃――。

『あれを始末するのに協力して。おびき出すのは、この子がやるわ』
『いいだろう……侯爵は上客だからね。ただ、聖女殺しなんて面倒事の手伝い、礼金はたんと弾んでもらうよ』

 離れた東の森の陰では――その後ろ姿をみつめ、穏やかでない囁きを交わす者たちがいたことに、シーリは気付いていない……。
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