極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
「くそっ……⁉」

 いつしか、アンジェリカの背中は木の幹に着いていた。
 彼女がそれを奇跡でどけようとする寸前に、私はその腕を掴む。

「は、離せ! お前のような下賤な身が、直接私に触れていいと思っているの⁉ や、やめろ! 私にそれを向けるな……!」

 それ、とは――?

 思考がぼんやりとして、空いた方の手に何が握られているかも定かでない。
 けれど、視界の外側でゆっくりと翳されるのは見えていた。光を吸い込む、漆黒の刃が。

「や、やめなさい……やめて。わ、わたしはこの国ありきと呼ばれた、あのジーレット侯爵の娘なのよ。手に掛ければどんなことになるか、わかっているのよね?」

 しかし、今の私はそんな言葉では止まらない。止まってくれない。

「ひいぃ、魔女たちよ! 私を助けろ、何を黙って見ているのっ!」
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