極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 子どもの拳だ、避けようと思えば避けられただろう。でもアルベール様はあえてそれを受け止めた。

 どちらも同じ母親から生まれ、その人を大事にしているのに……。なぜ、こんな風にいがみ合わなければならないの……?

「よしてください。そんなことをしても、王妃様は喜ばないと思います……」

 部外者だけど見てはいられず。私はもう一度拳を振るおうとした殿下の手首を掴んだ。
 叱られるかと思ったけど、彼は私の肩口に縋りつくようにして顔を伏せる。

「くっ……わかっている。でもそれじゃ、オレはどうしたらいい。……なにもしてあげられることがないんだ。母上はもう、呼びかけても起きてすらくれない……最後までこの国の王妃として、責務を果たすつもりなのだ」

 私は殿下の背中を支えながら、アルベール様と顔を見合わせた。

 彼もひどい顔だ――食事も取らずに駆け付け、目の前で自分を生んだ母親の命の火が尽きようとしているのに……。弟の身を気遣って自分が家族だと主張することもできない。

(このままじゃ、きっとダメだ……)
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