極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う

30・大きな賭け

 王妃の封印が解かれた世界書は、今や、不規則な明滅を繰り返していた。

 螺旋状の背表紙に階段状に並んだ全てのページが、夥しい量の黒ずみで覆われ……それらはじわりじわりと拡大していく。

「誰か……王国側に戒厳令の要請を。世界中に魔物が大量発生する恐れがあると」
「ハイ」

 丁度マール様が王宮にいるはずだと伝えると、ルイーゼ様が指示してひとりの聖女が部屋から飛び出していく。

 そこで私は、この間の討伐業務研修で起こった体験を皆に共有した。

「――あの時は、空に開いた出入り口をポピアと協力して塞ぐことができました。でも……今から各地に向かいそれを行うのは現実的じゃありません」

 魔物の出現を表す、祭壇上の世界書に浮かんだ黒ずみの数を見ると……大聖殿に今いる聖女を総動員しても、到底魔物たちの被害は防ぎきれないものとなるだろう。

「一番確実なのは、国内外の住民に住んでいる地域を放棄させ、数カ所にまとめることだろうな。他国にも早めに伝令を送った方がいい。村落に大きな被害は出るだろうが、今は生き残ることを優先しなければ」
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