極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
「今は詳しく語るのはよしましょう。私が言いたいのは、信じようとしなければ、なにもできないということ。だから……あなたたちも、奇跡を……自分の力を、信じて――」
「母上!」

 ごほっ、と強い咳をした王妃様の身体がかしぎ、殿下がそれを支えた。これ以上無理をさせると本当に命に係わる。
 彼女は右の親指から指輪を外すと、息も絶え絶えの様子でルイーゼ様に預けた。

「これを祭壇に近づければ、世界書に触れられるようになるわ。ごめんなさい、後のことはお願いね……あなたたち」

 それきり、王妃様は意識を失ってしまう。

 ルイーゼ様は重い責任と共に受け取った指輪を嵌め、神妙な面持ちで世界書の乗る祭壇に翳した。
 するとその表面に光の線が素早く走り、目の前の世界書の存在感が増していく。

「別の障壁でも守られていたようね……。さあ、触れてみて」
「え、でも……」

 ルイーゼ様は振り返ると私に告げた。
 これがどういうものか今いちはっきりと理解できていない私は二の足を踏む。だが……。
< 349 / 840 >

この作品をシェア

pagetop