極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 自分が見聞きした、ありとあらゆるものの存在を書き連ね――彼女はそれらをある程度を書物にまとめると、次の場所へ旅立つ。
 時には馬で、時には空を飛んで……国々を回りながらそんな日々を続け、何日も何日もかけて、彼女は本の中に世界そのものを保存(うつ)していった。

 やがて、数え切れないほどの日数が刻まれ……それが完成した頃。
 いつしか少女は老女になり、世界は、大きく壊れかけていた。

 度重なる天災は大地を打ち砕き、多くの街が海へと沈んだ。
 そこに暮らしていた人々も……生活環境の激変に耐え切れず、生き残れたのはほんのわずか。
 少女だった老女の――最初の聖女の長い旅と命は、それを回避するために捧げられたものだったのだ。

 そして、聖女は滅びが大地を覆い尽くす前に、奇跡をもってすべて写し取ったその中に人々を呼び込んだ。自らの存在をもそこへ組み入れ、人生を賭けて作り上げた(せかい)を補強して――。

「それが……原初(はじまり)の聖女。そういうことだったのね……。でもそれだけじゃ――」

 隣に立つルイーゼ様の声が聞こえた。私の意識もいつの間にか現実に戻っていたようだ。
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