極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
(そうよね、そのはずよ……。ああ、嫌。こんな汚い場所、すぐに出たい! 昨日は蜘蛛に、ネズミも出たわ、病気になる。早く屋敷に帰ってメイドに身を清めさせ、ちゃんとした食事をするの。お気に入りのキャビアチーズカナッペと新鮮なサラダをいただき、ゆっくりお茶を飲んだら一休みして。後々聖騎士たちの口封じも必要だけど、お父様に任せましょう。事態が落ち着いたら、聖女会に――っ!)

 脳裏にあの時のシーリ・アンテノアの顔が浮かび、たとえようのない恐怖が私を襲った。上擦った声を上げ、肩を抱え込む。

 あの力……あれはなんだったの。あの時の星も見えない夜空のような瞳が、頭から離れない。
 あれでは聖女ではなくて、まるで――魔物。

(もう……あいつとは会いたくない。怖い……)

 指先が、服の上から肩口に刻まれた傷痕に触れる。そこからは今も、じくじくとした痛みとともに、あいつに対する憎しみが渦巻いているのに。
 身体も心も、やつに対して完全に屈してしまった。あんな化け物が、どうして私の前に、落とし穴のように存在していたの――。

 カツン――。
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