極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う


 聖王国を牛耳ろうとしたジーレット侯爵の最期からしばらくして――怪しげな黒い尖り帽を被った一団がその場に出揃う。

 その中で、ただふたり……黒ではなく濃紺と濃赤の衣装を身に纏った者たちが、部下にジーレット侯爵の亡骸を袋に詰めるよう命じ、また、メナの前に進み出た。

「お遊びはお済になりましたか。我が君」
「ご命令通り、セラン以下、魔帝国に所属する貴族の七割を掌握いたしました。いつでもあなた様の意のままに動くことでしょう」
「はぁ……君らもご苦労なことだ。魔帝国が誇りし双魔の賢女が反逆を――元々帝国民でない私を帝に据えるなんて馬鹿げたことを容認せざるを負えないとはね……」
「この男の生のように、世はままならぬもの。そうだな、エクレ」
「ええ、トルテ。だからこそ絵空事を叶えたくば、思いつく限りのものを捨てなければ……。仲間、誇り、主君……時には我が身さえも」
「…………そうだね。そんな世界を私も嫌うよ――」

 侯爵の亡骸をしばし見つめると、メナは木々の隙間に覗く夕空を目にした。特に異変もなく、いつも通りの穏やかな風景。
< 381 / 840 >

この作品をシェア

pagetop