極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 軽快なトランペットの音が皆の注目を集め、真紅の絨毯に靴を埋めながらふたりの人物が歩み寄る。

「…………」

 それを見た私は、しばし、考えることを止めた。

 先に口を開いたのは、漆黒の桂冠を頭に乗せた壮年の女性。
 物静かな佇まいながら、強烈な威圧感を備えている。

 そして、もうひとりは……彼女とよく似た雰囲気で黒髪の、鋭いまなざしをした陰のある男性。
 そのふたりは、迷いない足取りで真っ直ぐ王妃様の前に進み出ると、こう述べた。

「聖王国に招かれている以上、礼儀は尽くさねばと思ってな。この度の快癒、誠にめでたく思う。当国の代表として祝わせて欲しい……ティリシャ王妃よ」
「主君に倣い、私からもお祝い申し上げます」
「ええ、ありがとう、魔女帝ヴァシリーサ殿。それに、魔帝国軍団長ラエル殿」

 国賓たる彼らを笑顔で出迎える王妃様――間違いなく粗相があってはならない場面のはず、なのに。
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