極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 ルイーゼと呼ばれた美女は窓から視線を切り、部屋中央に据えられたベッドを気づかわしげに覗き込む。そこには、ややふたりとは年の離れた……だが気品に満ち溢れた女性が苦しそうに横たわっている。
 その傍らでルイーゼは、懺悔の言葉を紡いだ。

「ティリシャ様、申し訳ありません。私があの時選ぶ道を間違えてしまったばかりに」

 寝台に横たわる女性の身体は微動だにしない。息すら……まるで自らの命も時も、何もかもを凍り付かせてしまったかのように。

「いい加減にしろ」

 後悔の言葉に被せ、緑髪の女性マールが顰め面で吐き捨てた。

「あの場に正解などなかった。あいつは、お前があの時どんな選択をしようとこちらに留まる気はなかったさ! 道はやつとの出会い……いや、生まれた時からすでに分かたれていた!」

 マールは手の内を開き、まるでそこに映る何かを押し潰すようにぎゅっと握り込む。

「それにな……お前が思うような選択をできたとて、未来は常にうねり我らを翻弄する。私たちができるのは、目指す希望を手中にせんと、勇気を出して暗闇に踏み出すことのみ」
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