極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 幸い王妃ティリシャ様が間に入ってくれたことで、失礼な行為に対してのお咎めはなかったけど……。『私のことを知っていますか』なんて……あんな自意識過剰な発言、なんでしてしまったんだ私ったら。
 そりゃ軍団長様も呆れて否定で返すよと……恥ずかしさが込み上げて密かに足をバタつかせたくなるくらいだ。

 それから、ティリシャ様は私の黒い髪留めについても――もしや魔帝国でしか出回らない、ダスクムーンという珍しい鉱石ではないのかと尋ねようとしてくれたんだけど。
 魔女帝はそこでも一言ばっさり。

『あり得ぬ。ダスクムーンは、そなたの国のサンホワイトと同様、魔女たる資格者にしか与えられぬ国の宝。元となる鉱石の産出、加工ひとつとっても厳格な規定で制限を行い、その流通記録も正確に追跡しているのだ。国外に引き渡された記録などないし、ましてやそのような半端な形では存在せぬ』

 これほどきっぱりと(みかど)御自らが明言すれば、もうそれ以上の追及は敵わない。
 望みは断たれ、あの石の正体については振り出しに戻ってしまった形だ。

 その後、彼女は王妃といくつか世間話をすると、メナのことを切り出す暇もなく去ってしまった。
 彼女の言葉を信じるなら……あの白髪の魔女の言った言葉はまやかし、ということになってしまうが……。
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