極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 マール様はしかと国王様の言葉を受け取り、自信のほどを示してみせた。
 しかし……テーブルの下で握る彼女の拳は、小さく震えている。

 当然だ……これまでの聖王国は数百年間、聖女の絶対的な力を盾として他国からの侵略を抑え込んできた。魔物との戦いはあったにせよ、近年の聖女達は同族の血を流すような事態に遭遇したことがない。

 それでもマール様は、金盞花の聖女として立派に皆の視線を受け止め、責務を果たそうとしている。その姿を見て私も気が引き締まった。ひとりの聖女として、出来るだけ彼女を支えよう――。

 だが、そう思う傍らでどうしても気にかかることがある。なぜここに他の金盞花の聖女たちがいないのか……。筆頭聖女のルイーゼ様も、力の乙女ヴィーナ様も。
 その違和感と、こちらに訪問していた魔女帝の動向の答えは、次の国王様のお言葉で同時に解消することとなった。

「うむ、マールよ。頼もしい言葉じゃ、聖女たちの統括はそなたに任せたぞ。そして、ここにおる者のほとんどが知っておろうが、想定外の事態により、魔女帝ヴァシリーサ殿と軍団長のラエル殿は王国を発たれた。ふたりには元々帝国から連れて来た親衛隊、並びにルイーゼとヴィーナの両名を護衛に付けておる」
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