極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 私は彼女を立ち止まらせようと必死に語りかけた。

『メナ……ここまでにしておいてちょうだい。ロバートのことは絶対に私がなんとかするから! あなたが彼を大事に思う気持ちは分かる……けれど、人を傷付けてまで目的を達成しようとすれば、それは必ず報われない結果を産むわ!』
『そんなことをいって、ルイーゼ姉さんにも分かっているはずでしょう。この数ヶ月で、王国は私たちに何をしてくれた⁉ あげく、こんなことに……。私はこいつらを殺してでも兄さんを連れ出す、そこをどいて!』

 “本”の聖女であるメナは、自らの持つ本に記述した内容をそのまま奇跡によって具現化できる。彼女は破り捨てたページから発生した稲妻で、私を貫こうとした。慌てて水で壁を作り出し、背後に受け流す。

『――っ! なぜ……』
『この国は、兄さんを裏切った。兄さんは苦しむ人々のためにその力を振るおうと、あんなにも頑張っていた……なのに、あなた以外は誰も庇ってはくれなかったじゃない! 私はもう……いやだ。こんな国で暮らしたくない! 自分の命を擦り減らして、こいつらのために尽くす聖女なんか、もうまっぴらよ!』

 メナの右肩が強く光り出す。そしてそれはゆっくりと、彼女の聖力をより深い色へと濁らせてゆく。灰から、重たげな鋼鉄の色を経て、すべてを塗りつぶす、黒へと。
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