極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 私はその言葉に目を見開く。

「……まさか、本気で? そんなこと、できるはずが……」
「そのための奇跡であり、魔法だろう? 可能なはずだ……これまで私が集めた力と、この月映宮に封じられていた……この力を借りればね」

 私の視線が、彼女の背後に置かれた……物言わぬ黒い球体に突き刺さる。
 ガラスで周囲を覆われたようなそれは……魔物と似ている。この世の全てを己が色に染め上げ、塗り変えてしまう、漆黒の箱舟。

「これは卵。これが開かれる時、私の望みは遂げられる。その時はもう近い」
(止めなければいけないのに……)

 成す術もなく、私は冷たい鉄の床に膝をつけた。

 だが、そこで私は思い出した、私たちの希望――シーリのことを。そして、祈る。

「君の願う奇跡は起こらない。そんなことくらいわかっているだろう?」
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