極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
(何か……聞こえる?)

 耳に人の話し声のようなものが届き、ハッと顔を上げる。
 アルベール様の横髪の間で揺れる緑のイヤリングが、しきりに点滅していた。


 
 予想以上に広大な大河が、目の前に姿を現した――。

 差し渡し二、三キロといったところか、水底が見えず深さもかなりありそう。普通に船で渡っても、向こう岸に辿り着くには十分以上はかかりそうな規模……しかもあちこちに帝国旗を掲げた帆船が遊泳している。

「ククク……あれだけ挑発しておいて、ずいぶんあっさり追い詰められたもんじゃないか」
「くっ……」

 私を抱えたアルベール様の足が止まり……岸側にじりじりと近づいていく。
 周囲も続々と集まってきた帝国兵たちで、真っ黒に染まりつつある。
 進退窮まったと見たか、そこでヴィーナは威勢のいい掛け声とともに飛び掛かってきた。
< 514 / 840 >

この作品をシェア

pagetop