極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 うーん、無限地獄。奇跡を解けば氷に包まれ、かといって奇跡で身を守っていたら、永遠に水の中から上がれないという。しかもヴィーナは余り泳ぎが達者でない様子。

「き、貴様ら! 許さないから……がばっ! こんな氷、すぐに……。ドレス、重っ! だ、誰か助けろ、誰か――!」
「ほほほ、楽しそうだこと。まあ、この陽気でならじきに氷も溶けよう。それまでしばらく氷と戯れ、余に歯向かった浅慮を悔いておれ」

 そうして――ころころと機嫌良さそうに笑うと……水上にたくさんの帝国兵を釘付けにした魔女帝はくるり背中を向けた。とことん鮮やかな手際だった。

「陛下、馬を曳いてきました。三頭しかないので……アルベール、お前はその聖女と一緒に乗れ」
「ああ、助かる」

 その内に、ラエルさんが近くに止めていた馬の手綱を渡してくれ、私たちはコルジェの街に添う大河を後にする。私たちを取り逃したヴィーナの遠吠えもすぐに途絶え――ふたりと無事に合流できた私たちは胸を撫でおろした。

 しかし、これからどうするんだろう。まさか……このまま帝都に突撃するつもりじゃないんだよね?
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