極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 だがアルベール様は……どうしたって不安な気持ちが治まらない私に屈んで目を合わせると、言い聞かせるような優しい声で諭す。
 
『シーリ、分かって欲しい。君に君の役割があるように、僕は、僕の役割を果たしたいんだ。それにあんまり僕を甘く見ないでくれよ? さっきの逃げ足だって見たろ……大抵のことじゃ捕まらない。あの厚塗り化粧顔をさんざん悔しがらせて、ひび割れだらけにさせてやるさ』

 冗談も交えつつ、彼は単独行動の利点を説いた。潜伏もしやすく、聖騎士である彼ならば鷹のように遠くから敵陣を見渡せる。それにアルベール様の奇跡があれば、どこからでもヴィーナの存在を感じ取れ、見失うこともない。

 あくまで遠くから見張るだけで、無理はしない……。
 そう約束した彼を、私はそれ以上無理に引き止めることはできなかった――。



(いいのかな、こんなにゆっくりしてて……)

 どうも気が急いて落ち着きが持てない私の前で……使用人の方々がカートに乗せたコース料理の数々を、順番に給仕してゆく。
< 539 / 840 >

この作品をシェア

pagetop