極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 帝国式の造りであるそれらは、本来私が初めて見たもののはずなのだが……不思議と。

「帝位継承が決まった時、余は姓をドナムーンと改めた。だが元は、ホルドキアのヴァシリーサであったのよ」

 敷地内を巡るうちに少しずつ、その風景は見慣れたもののように感じて来て、混乱してくる。

「無論、余がそなたを産み落としたわけではない。とはいえ……お前の母親とは無関係でもないのだ。そのラエルとも血の繋がりがある。甥という形でな」

 ――そこで、ありもしないはずの感覚が、頭に過ぎった。
 かつて私は……この場所を、誰かの腕に抱かれて周ったことが、ある?

「余には妹がいた……名は、クラリス。私などとは違い、笑うと可愛げのある、おおらかな娘であった。そう、そなたと同じ白髪の……」

 魔女帝は、ちらとこちらを見てさらに足を進めた。
 建物の外へはしばらく石畳が続いており、美しい庭園へと繋がる。
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