極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 小さな噴水が、ちゃぽちゃぽと涼やかな音で耳を冷やす。
 立ち並ぶガーデンアーチを囲むように、色とりどりの花が今も咲き誇る、素敵なお庭だ。

「美しかろう。これらは、クラリスが手塩にかけて育てた花々。あの娘は身体が弱くてな、あまり遠くに出掛けられず土いじりをよく好んだ。多くがそれを見守り、競うように声をかけた。誰彼構わず好かれる心の綺麗な、そんな娘であった……」

 魔女帝は、アーチを伝う白い薔薇に手を添え、そっと目を閉じる。さらに何重にもそれらは続いており、私たちはゆっくりと奥へ。

「クラリスは……強い魔法の才を持ってもいた。魔帝国に伝わる魔法は多くが同じ形を持たず、それぞれ異なるものを宿す。妹が授かりしは、この国でもとりわけ希な“闇”を司りし魔法――」

 その話に、ごくり……と私は喉を動かす。心当たりはあった。
 アンジェリカの、強力な攻撃を打ち消したあの――内なるシーリの声が語り掛けた時広がった、黒いカーテンの正体が、それなのだとしたら。

「妹に負けじと余も研鑽を積み……ホルドキア家の姉妹の名はいつしか帝国に轟いておった。それでも、余は妹に魔法で勝る自信を抱けず、数ある試技でそれは明らかだった」
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