極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
「ん……副産物? ということは、虚無の在処の本来の効能がわかっているというのですか⁉」

 そこでアルベール様が何かに弾かれたように顔を上げ、魔女帝は神妙な表情で頷く。

「おそらくメナの目的もそちらの方じゃろう。聞くが、そなたたちは、この世界に月というものがあることについて考えたことはあるか?」

 魔女帝の質問に、アルベール様と私は揃って上を見上げ、その遥か向こうを想像する。

 そもそもこの世界の空は、原初の聖女が作り出した紛い物。つまり……毎日上る太陽も、夜空を巡る星々も、世界の器の内側に描かれた、ただそこに映し出されているだけの幻影である可能性が高い……。

 では……月も?

 そういえば……私はこの世界に来て月を見たことがない。
 多くの星々が賑やか過ぎて気付かなかったけれど、前の世界で見たようなまん丸な満月や、お洒落な三日月は、どこにも再現(うつ)されてなかった。月の存在が知られているとしたら、それは……なぜ?
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